秘密の話を少しだけ

もし自分がガラスの靴をもらったら、それを秘密に出来るかな

昼下がりのファミレス

ずいぶんとながいこと
こんな関係が続いている。

大きな窓からたっぷりと入る日の光が私の右側と彼の左側、テーブルの上の空の食器に降り注ぐ。
光とともに届く熱の差なのだろうか。
夏のそれとは違って、冬の日差しは薄くて透明な気がする。

彼の残した野菜は私があらかた食べた。
彼はあからさまに野菜を残す。
わたしはそれがあんまり好きじゃないから、多少無理をしても食べてしまう。

ずいぶんとながいこと。
もうどのくらいになるんだっけ。

「私たち、いつからこういう関係なんだっけ?」
しっかり思い出せば分かる事だけど、満腹の私には面倒だった。
もうすぐクリスマス。何回目だっけ。

しかし、返ってきた答えは
「お前が飽きるまで」
だった。

噛み合ってない。
少し考えて合点した。
そうか
彼は聞き間違えたのだ。

「私たち、いつまでこういう関係なんだっけ?」

聞き間違っていることは言わなかった。

「そうなんだ」

とだけ返して本来聞くはずの、もとの質問をした。
意外にも考える素振りもなく答えが返ってきたので「そんなになるか?」と怠惰な脳みそを回して検算すると、すこぶる正確な答えだった。

聞きたかった質問の答えより
自分からは絶対に聞かないであろう質問の答えに妙に満足する。

別に最高に嬉しい答えでも、ロマンチックな答えでもないけれど。

飽きるだろうか

昼下がりの光が
変わらず私たちの片側の頬を照らしている。